始めに

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実態に合ってない支援

 発達障害者の人は、できることとできないことの差が大きいそうです。そして、能力が高いのに、ミスが多いとか、会話に問題があって、意思の疎通が図れないけれど、知識は多い。というIQの高い人ばかりじゃありません。「80前後です。できないことだらけで、ミスだらけで、もう嫌になる。何のために生まれてきたの?」という悲惨の意見の人もいれば、「IQは130です。学校の成績は上位です。なのに、行動を起こすとミスが多いのです。なぜ?」「知識はありますが、雑談が苦手で、コミュニケーションが取れません」という人もいます。この差が、発達障害の支援が現状に合っていない原因の一つのようです。

 レベルが高いのに、平均レベル以下の人の支援のセミナー、ワークに参加してしまう。こういう人も多いです。紹介されたからという理由で、苦痛ながらも続けてしまう人もいるようです。ばかばかしくなっていかなくなる人もいるようです。反対に、ついていけない。個別指導してほしいと思っている人もいるようです。

 発達障害者の人は支援をしてもらっても、本人の力量に合っていないと苦痛になり、やる気が薄れていきます。セミナー、ワーク、作業所など、紹介を受けても、「こんなのしても、俺に合ってない」「やりがいがない」となるそうです。「俺は、ここまでひどくない」という人もいるため、状態には合ってないようです。

 発達障害以外の人でも、働いている会社、所属しているグループ、通っている学校など、状態に合ってない場所もありますが、場所に合わせて、行動を変えることができる人も多いです。よけいなことを言われても、できない点を指摘されても、すねたりせず、「適当に流す。必要な部分だけ聞く」という取捨選択行動ができたりします。ところが発達障害者は、この取捨選択を、「全部聞いておきたい」というASDのまじめな人もいるし、「興味ないから聞かない」「忘れる」というASD、ADHDの人もいます。「覚えておけないんだ」というADHDの人もいます。取捨選択して、自分に合った方法に慣れ、場所に合わせて行動ができるようになるまで、かなりの時間がかかるようです。適応は難しく、やがて、「面倒だから逃げる」「俺、ここまでひどくないよ」と腐るようになります。

 個別指導をしてもらえる環境というのを、子供のうちからやってもらえる年齢ではなくなって、大人になってしまい、それでも、ミスが多いとなると、家族、会社の同僚、そのグループのほかのメンバーにしわ寄せが来ます。
 「周辺者」は、発達障害の人と脳の動きが違います。定型発達の人同士でも、考えも脳の働きも違うので、戸惑いますが、発達障害の場合は、「どうして、そこで傷つくの?」「どうして、そうやって考えるの?」と思ってしまうぐらい、定型発達の人は、合わせるのが難しく、それを「私に合わせた支援をしてよ」「配慮をしてよ」とお願いされても、想像するしかないため、行政の担当者も、そして、発達障害の身近にいる「周辺者」も、「どこを、どうしたらいいの?」と気を使って、言えなくなることも多いです。希望通りの支援は、発達障害の症状が出ている人が、支援者のケースなら叶うのかもしれませんが、実際は難しいようです。

 問題が起きたところを、適切に支援してもらえるグループになれるように、発達障害の症状が普及すればいいのにという意見をよく見かけます。ほかの障害の症状は普及しているでしょうか? 目の見えない人のための介助犬の導入、エレベーターの設置後の、周りの人の支援は行き届いたでしょうか? なかなか普及していない気がします。ほかの障害の人でも、ハード面を整えて、そして、周りの人が動けるようにするソフト面の普及は、その後、何度も改善されたり、ニュースで取り上げられたり、学校や会社で導入されたりして、やっと、社会的レベルの浸透につながっている状態です。足の不自由な人、目の見えない人は、ずっと、長いこと、存在していても、なかなか支援してもらえなかったのですから、発達障害という名前がやっと知られてから、その症状の正しい知識が普及するのは、気が長くなるぐらい遠い先のような気がします。

 実態に合っていない支援だと嘆くよりも、「自分ができることの努力をしたほうがいいよ」というのが、発達障害者の人のための行動のような気がします。「周辺者」ができるのは、今の実態に合っていない支援の中で、できる行動は何かを、考えることなのかもしれません。診断を受けるほどじゃないグレーゾーンの発達障害者の人が、自分で、周りの人に説明ができるような、そういうマニュアルを行政が作ってくれるようなシステムがあったりしたらいいのかもしれません。行動特性表があれば、どんな場所でも、その人に合った支援を周りの人も考えやすくなるからです。
 
 行政がしてもらえないのであれば、自分なりに未熟なりに手探りで作っていくしかなく、グレーゾーン、診断が出てもお医者さんに通わない発達障害のそばにいる人が手伝って、行動特性表を作成してもいいかもしれません。

ページの用語

「当事者」ASD、ADHDの症状がある人
「周辺者」アスペルガー、ADHDの周辺にいる人
「専門家」カウンセラー、精神科医