発達障害の「当事者」の状態は、変わっていく人もいます。現状のままの人もいます。現状のままの人の場合は、「変わってほしいのに」とぼやきたくなることがたくさん続きますが、変わらないので、「変わるまで、何年か、期待しないで、お待ちしております」と考えるか、「変わらないので、距離を取ります」「変わらないので、逃げます」とかになるのかもしれません。症状が重すぎるからです。
変わっていく人の場合は、その状態に合わせて考えていかないといけません。許せないようなことをされていたり、問題だらけで、「周辺者」の状況によっては、「合わせきれない」というのもあるからです。その時々によって変わりますが、決めるのは「周辺者」となります。「当事者」が決めると、見えている範囲、考えられる範囲にこだわるため、視野が狭くなり、先の見通しも考えないで決めようとしたりするからです。
変わっていくにしても、劇的ではありません。同じような事柄を、「前はやってくれたのに」と「当事者」が思い込んでいて、状態の変化についていけず、「やってほしい」とどんな状況でも言い張ったりするままの人も多いようです。それを一つひとつ、断ったり、対応を変えて、それを「当事者」が納得して、変化させるには、時間がかかるようです。気長にやるしかありませんが、「周辺者」の多くは、ほかの人だったら、もっと早く変化が出るのに、と、つい、思ってしまうので、なかなか難しいようです。
できないことの理由を知り、そして、状況が大変だった理由を知り、そして、変化させようとしても対応できない「当事者」の実力を、改めて感じ、そうやって、「じゃあ、どの程度なら、この人はできるのだろう?」とどんどんハードルが下がってきます。そして、現実と折り合いがつけられるようになるまで、とても、時間がかかるようです。
ハードルが下がり切り、「当事者」の限界を知り、「当事者」も自分の症状を知り、対応方法も学び、「周辺者」も、関わり方や気持ちの切り替え方を学び、というところまで、とても、時間がかかります。気持ちを徐々に落ち着けて、変わっていく部分を、どうとらえていくのかを「周辺者」の気持ちに従って、動いていく必要があるようです。
「期待しない。できなくても責めない。代わりにやらない。指導ではなく提案をする。応援する程度にする。無理をしない。言い訳しているのを、「いいよ」と言わない。できそうなことは、自分でやってみてもらう。怒りたくなるけれど、がまんする。犠牲者にならない。罪悪感を持たない。自分の範囲と相手の範囲で分けて考える。疲れたら休止する。そのうちできると、急がせない。悲観しない、楽しみを見つける。怒るより、「こうしてもらうほうが嬉しいよ」と言う」
という心構えが必要です。