始めに

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脳の中身は見えない

 発達障害者の「当事者」と「周辺者」は、お互いに歩み寄れない部分がたくさんあります。「当事者」は好きで、その症状で生まれたわけではありません。でも「周辺者」も、では、無理して、その症状の部分を我慢するしかないのかということになって、平行線です。悪気はない、でも、何かが起こりやすい、自覚がない障害者の場合は、そして、自覚があっても、うまく適応できず、周りに説明したり、周りに助けてもらいやすくする環境づくりが整ってない場合は、トラブルがずっと続きます。

 これらがおこる原因は、発達障害者も、その周辺者も、お互いの脳は見えないからです。では、これらを埋めることができるのは、どうすればいいかというと、お互いに、どういう感覚なのかを学ぶしかないのですが、これを学ぶ機会は、実は、発達障害者かもしれないと自覚が出てからになり、発達障害の存在自体すら知らない時だと、「なんで、こんなにミスするの?」「なんで、ミスするのを許してくれないの?」となっていて、その積み重ね後に、すぐに「じゃ、切り替えて、今までの感情を捨てます」なんてことができる人が、ほとんどいないことが原因です。

 切り替えるには、発達障害の症状に詳しい、精神科医、心療内科医、臨床心理士などにカウンセリングをしてもらって、「大丈夫ですよ」「一緒に、がんばって環境づくりをしていきましょう」と言ってもらえるだけでも、違ってくるそうですが、なかなかそれをするだけの気持ちは生まれにくいのが、日本の状況です。カウンセリングを無料、もしくは格安で受けられる状態で、できれば、最初は匿名で受けられたら、発達障害のことを相談しやすくなるのかもしれませんが、なかなか難しい状況のようです。

約束を守らない

 発達障害の「当事者」は約束を守らないことを、何度も続けることがあります。ADHDの場合は、約束したことを忘れてしまう。内容を忘れてしまう。それで問題になっても、わかってない。など、たくさんの理由があるようです。ASDの場合は、そもそも理解できてない。自分の実力がわかってない。概念がわかってない。約束を破ったら、どうなるかが想像できない。などなど、こちらも、たくさんの理由があります。

 約束を何度も破られたら、周りが嫌がるということを、気づけない人も多いようです。気づいていても、「それでも、忘れちゃうんだから、いいじゃない」と言い張るADHDの「当事者」も多いようです。

 それで、これをどう折り合いをつけたらいいのかというと、「できる約束をすること」がいいようです。ADHDの場合は「できるよ」と見通しが甘いので、何度も失敗を重ねた後、「周辺者」のほうがADHDの「当事者」の力量に合わせて、調整して約束をしたほうが安全のようです。
 アスペルガーの場合は、予想がつかない、概念がわかってない、自分がどう動いたらいいのかわかってない。できるかどうかがわかってない。など、かなり問題がある状態の人の場合は、何度も失敗を重ねた後、「こちらのほうがいいと思うよ」と周りの人が勧めても、それでも「できる」とハードルを下げたがらない人が多いようです。理由は、「本当にできると思っているから」「現状維持が好きだから」「できない理由は、周りが無理解だからと思い込んでいるので」など、色々と複雑のようです。何度も、失敗を重ねて、「あなたには、こっちの方法が合っているよ」と気長に勧めて、ものすごく時間をかけて、本人の力量に合った約束ができるようになっていくようです。

 残念ながら、約束を何度しても、失敗を繰り返し、反省せず、周りのせいにして、自分が被害者だと思っている、方法を変えなかったり、ハードルを下げなかったりする発達障害の「当事者」の場合は、あきらめたほうがいいようです。その場合は、「周辺者」が代行したり、サポートしすぎたりすると、「ほかの人にやってもらえば済む」という間違った認知が出来上がる発達障害の「当事者」もいるので、助けすぎたりせず、「周辺者」が犠牲になりすぎるようなことはやめたほうがいいようです。

 距離を取りつつ、「周辺者」が行動を自分のペースを守りながらやるしかなさそうです。場合によっては「当事者」が被害者ぶって、何度もなじったり、攻撃されるケースもあるようです。その場合は、逃げるように指導する「専門家」もいますので、自分で考えて、無理しないほうがいいようです。

努力目標を定めましょう

 「発達障害かもしれない?」とわかった後、とりあえず、資料を調べ、時にお医者さんに行ったり、でも、迷いが多いのが、発達障害の症状です。けれど、症状の度合い、診断してもらった医師、対応してくれた行政担当者などによって、違いが大きすぎて、「いったい、私はどうしたらいいのだろう?」と迷ってしまいやすい状況になっています。外国だと、小さい時に発見されやすく、国によっては医療現場と学校などが連携されていて、ケアを考えてくれるため、「当事者」「周辺者」は、それに従って動いていくことができますが、日本では、成人の発達障害に対して、取り組もうとなったのが、国の基準が変わったのが、十数年前で、それ以降に、地方自治体に発達障害者支援センターができて、受け皿はとりあえず用意されたけれど、それにかかわっている職員や、お医者さんなどが、「当事者」「周辺者」が安心して任せるレベルにはなっていないのが現状のようです。
 そのため、「当事者」「周辺者」は自分たちで、どう動いていいのかを、自分たちで調べないとどうしようもなくなっている状態です。お医者さんは診断と投薬はしてもらえても、行動指導はしてもらえなかったというのも、多いようです。一部、デイケア施設を持っている病院の医師の場合、行動改善指導をしてもらえたというのもあるようですが、やはり、ある程度は自力になるようです。そこで、「じゃあ、自分は、どうしたらいいのか?」を目標を立てて、やっていくしかなさそうです。

努力目標10点コース(100点満点中)
 
 落ち込むのも嫌だし、日常生活が困っていても、別に構わないし、治らないし、行動改善なんて、嫌だしと思っているのなら、最低限の、症状の理解と対応をして、開き直って生きていく。というコースになるのかもしれません。ただし、「周辺者」は助けてくれる人もいますが、ほとんどの人が、「そこまで、がんばらないのなら、困っていなさそうだし、こっちも最低限の付き合いでとどめます」という「周辺者」が多いことを覚悟したほうがいいようです。

努力目標30点コース

 あまり、がんばれる性格じゃないし、無理もしたくない。でも、あまり、周りに迷惑もかけたくないので、それなりにやれたらいいと思っているのであれば、自分がしたいと思う程度の症状の把握と、行動をしていき、1~2年ぐらいかけて、気長に、取り組むのがいいようです。気持ちを落ち着け、症状理解に一年。残りの一年で、対応策をやりたい範囲だけやることにして、3年目で、トラブルが減ったらいいなと思って、取り組むのがいいようです。

努力目標50点コース

 平均レベルぐらいは取っておきたい。何事も中程度が好きという人のコースになります。ちょっと無理は必要になります。気持ちを落ち着け、症状把握に一年、対応策を考え、覚えていくのに一年、さらに一年かけて、定着させていくコースになります。よって、3年ぐらいを目安に気長に取り組むコースとなり、本や資料に書いてあるもので、自分が一番問題と思っているものと、さらに、できそうなものを取り組んで行くのがいいようです。できなくても、無理をしない。成人となってから、取り組むため3年はかかると考え、1,2年は下積み生活となるため、その間、「周辺者」「当事者」は、トラブル、言い合いになるのは、「障害の症状だから」と思いながら、気持ちを作っていくのがいいようです。

努力目標70点コース

 やるからには、平均以上はやりたい人のコースになります。ものすごく気長に4~5年はかけて、取り組んでいくか、それとも、本を読むのが好きだったり、目標に対してがんばれるのであれば、気持ちに合わせて、ペースを上げたり、下げたりして、自分の症状に取り組むことになるようです。気持ちをゆっくりと作っていき、症状の把握もゆっくりと2年はかけて勉強し、その間、取り組めそうなもの、トラブルが起きていて、すぐに対応したほうがいいものを、やっていくのがいいようです。さらに、気になる症状が出たら、追加していく。そうして5年ぐらいかけて、寛解状態になるのを目標に取り組むのがいいようです。成人になってからの取り組みなので、できないことも多いようですが、がんばりたいと思うところまで、やってみてもいいかもしれません

努力目標90点コース

 このコースを選ぶ人は、もともと、学習が好きであり、まじめであり、何事も真面目に取り組みたがり、ものすごいまでの知識欲、記憶力、馬力、過集中がある人が多いようです。自分で、どんどん調べてやっていき、どこまでも追及して、自分の欠点を見直し、できる範囲を伸ばし、社会適応ができている人も多いようです。元々、できるため、症状の把握が早い人も多いし、もしくは、粘り強く、とことん調べる人も多いようです。そして、がんばって取り組んで、自分でブログを書いていたり、サイトを立ち上げたり、著作物があったりします。高学歴、社会的地位が高い人も多いようです。

*どのコースも、それなりに時間がかかるのは、説明に時間がかかるからです。さらに、癇癪を起しやすい。パニックになりやすいなど、感情処理も学ぶ必要があるため、そちらにも相当の時間がかかるようです。



 残念ながら、自覚がなく、もしくは自覚していても、「どうせ治らないんだろう?」「医者に行っても無駄」「努力する意味がない」「周りが合わせれば済む」「俺がどうしてこんな目に遭うんだ!!」「どうせ、やってもできないんだ」など、開き直ったり、周りに過剰に求めたり、いじけたりしている人が取り組むというのが、なかなか難しいようです。気持ちの切り替えが早い人も多い障害ですが、反対に、ずっと、そのまま、開き直り、いじけ、すねて、なんて人もいますので、ここは性格のようです。性格の場合は、なかなか切り替えられないものなので、そこは「神様の範囲」となり、「当事者」が自覚を持って取り組んでくれるのを「周辺者」は待つしかないようです。

どの基準で考えたらいいの?

 日本基準、グループ基準、家族の基準、自分の基準。これらを全部考えて、「ほかの人の事情をわかってはいるけれど、とにかく自分優先したい」と思ってしまうのがADHD。「ごちゃごちゃして、選択できない!」となるのが、ASDのようです。それを予防する方法は、とりあえず、発達障害の「当事者」が、それぞれの基準を把握するところから始めないと、どうしようもないのですが、「面倒だから、やりたくない」「一応、把握しようと思っているけれど、覚えきれない」「ごちゃごちゃして、整理して考えられない」というADHDの人もいます。自分の症状に合わせて、対応方法を周りの人、お医者さん、カウンセラーなどに相談しながら、考えていかないと大変になります。

 ASDの場合は、もともと真面目な人が多いため、本を読んで整理することができる人だと、自分で取り組んだり、周りに確認したりして、時間をかけてやっていく人もいます。
 取り組んでいく人は、これらのことをゆっくりと整理しながら、時間をかけて環境を整えていく必要があるようです。症状の把握、基準の把握だけで、一年はかかるようですし、その後の環境を整える、対応策を考えて取り組んでいくのに、さらに一年かかります。この間、発達障害のお医者さんを発達障害者支援センターに紹介してもらったり、診断してもらったりする場合でも、かなりの時間がかかります。どちらにしても、気長な作業になるため、すぐに効果を求めるとつらくなるので、途中で中断しても、自分を責めたりしないで、気持ちを作りながら取り組んでいくしかないですが、「周辺者」は、先が見えるため、気持ちが折れて、「付き合いきれない」という書き込みがたくさん見られます。「当事者」も「周辺者」も、時間がかかるものだと覚悟して取り組まないと、大変なようです。


 「周りの基準より、俺が何より正しいので、そんなことはしなくてもいいんだ!!」と言い張る人もいます。「俺に回りが合わせれば、世界は回っていく!!」とまで思い込んでいる人もいます。「面倒だから、周りの人にやってもらっていきたい」と思っているADHDの人もいます。実際には、トラブルの原因になっているのは、発達障害の症状が出ている人の脳の動きが一般的な人と違い、少数派になっているため、社会基準は多数派の、一般的な脳の動きをする人の感覚に合わせて動いていきますから、「合わせなくていいよね」「俺に合わせろ!!」は通用しない場所が多いようです。家庭内や小さいグループでは、発達障害者が主導権を握りやすい場合もあり、その場合だけ、発達障害者の意見が通りやすくなることもありますが、その場合は「周辺者」は無理をしない。合わせて、自分の生活が壊れるのなら、無理をして合わせなくてもいい。という指導をされる場合もあります。

 どちらにしても、発達障害の症状が出ている「当事者」の努力から始めてもらうしか、難しくなります。当事者が、症状の把握、基準の把握、自分がどう対応していいのかの把握をしてもらってからじゃないと、「周辺者」は何も考えられないので、待つしかないようです。

ページの用語

「当事者」ASD、ADHDの症状がある人
「周辺者」アスペルガー、ADHDの周辺にいる人
「専門家」カウンセラー、精神科医