ASDの「当事者」は漠然とした指示では、「周辺者」が要求する程度の行動ができない場合があります。具体的に、一つ一つ区切って、指示をしないと伝わらないようです。一度にたくさん指示を出しすぎると、「どの順番だろう?」「何をするんだっけ?」となってしまうらしく、時間が許す限り、メモを渡して、流れを把握してもらうと安心するようです。途中でのチェックを「周辺者」がした方が安全です。一つの指示だけで、その後は自分で考えて行動してくれるだろうと予想したら、何もしてなかったというケースは多いようです。その場合、できていなくても、詰ってはいけないようです。なじられたら、怖がるか、怒り出して、相手の言うことを聞かなくなる場合もあるようです。
言われるまで気づけないのは、想像ができないからのようです。聞いた言葉以上まで、行動はしないようです。だから、指示されたものしか答えられないため、接客業は向いてないとも言われています。受け答えで、気を利かせるという作業は苦手のようです。
「鈴木さんはいますか?」
→「いません」と答えてしまう。この場合は、「鈴木はおりませんが、どのようなご用件でしょうか?」など、臨機応変に相手の希望を予測して行動することまで要求されますが、ASDの「当事者」は、そこまで考えられないようです。わからなければ、同僚に引き継ぐ。上司に相談する。家族の場合は、相談する人をあらかじめ決めておくなどの処置が必要のようです。
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「○○○の作業をして、その後、進めておいて」
→一番目の作業だけやる。「進めておいて」で「いったいなにを?」と戸惑い、進められない。そのときに確認すればいいのに、そこで、相手を見つめて待っている。もしくは、自分のしたいことをしていて、「なにしてるの?」と「周辺者」に注意される・・なんてケースも多いようです。 この場合は、「○○○の作業をしておいて」だけを伝え、その後の作業は、一つ一つ確認しながら「周辺者」がその都度、指示を出すケースと、紙に作業工程を書いて、あらかじめ「当事者」に渡しておいて、途中の確認を「周辺者」が何度も行うケースなど、状況に応じて変える必要があるようです。
挨拶が必要な時に言わない。
→あらかじめ、「周辺者」が「当事者」に挨拶を教えておく。もしくは、そのときにフォローしつつ、教える。などの工夫が必要になるようです。
どちらにしても、手順は一つ一つ説明して進めないと、初めてのケースだと進んでいかなくなります。説明が面倒だからと代わりに「周辺者」がやってしまうと、ASDの「当事者」は、自分でやらないといけないことまで「他の人にやってもらっても構わない」と勘違い認識したままになり、「当事者」が何もしなくなってしまうケースも多いようです。 面倒でも、次からやってもらった方がいい場合は、時間が許す限り、教えておいた方がいいようです。教えても、なかなか覚えられないようですが、「とりあえず、やり方を把握してもらえばいい。そのうち、できるときがあるだろう」と気長にやっていくしかなさそうです。